令和元年度事業計画

1.設立趣旨

地球温暖化により世界平均気温が2014年に史上最高を記録し、地球上の各地で異常気象によると考えられる干ばつ、超大型台風、集中ゲリラ豪雨に見舞われています。二酸化炭素等の温室効果ガス排出量増大、地球温暖化、巨大地震・津波・火山噴火等の地球環境問題が身近な話題になりました。これらが私たちの暮らしに与える影響は甚大かつ永続的であることに警戒すべきです。

2019年、国際エネルギー機関(IEA)は、二酸化炭素排出量が過去最大の約331憶トンに達したと発表しました。今世紀末には、茨城県の平均気温は、宮崎市や八丈島並みに上昇すると言われています。最近では、2019年5月26日、北海道佐呂間町で39.5度を観測しました。

国は、原子力がベースロード電源を担い、昼夜の需要差を自然エネルギーと化石燃料が担うという自然エネルギーと原子力のベストミックスを基本政策にしています。これにより、日本の悲願であるエネルギー自給率の向上が促進され、二酸化炭素の排出も抑制され、その結果地球環境の現状維持に貢献できます。同時に、二酸化炭素排出量に関する国際的な約束を果たせることになります。

茨城県は、原子力発祥の地として発展してきましたが、2011年の福島第一発電所の事故以降、県内の原子力研究所や原子力関連企業は低迷を続け、また、地域の人口も減少しました。今こそ、中国等の世界情勢に目を向け、最新の原子力と自然エネルギーの現実を正しく認識し、発祥の地茨城から原子力の再興をめざす時期です。

このたび原子力国民会議のもとに茨城支部を設立し、地域住民とともに活動を進めることを決意しました。地域の草の根対話活動により、住民の切実な声を国の政策に反映するために、原子力国民会議本部と連携して活動します。

2、事業計画

(1)基本方針

茨城県は“原子力研究のメッカ”と言われ、原子力の先駆的役割を担う将来構想の構築と実現が期待されています。

しかし、地域住民の生活に深く係わる原子力施設や発電所の再開の実現には多くの地域住民の理解と支援が不可欠です。

また、県内の原子力研究所や関連企業と連携した活動基盤の整備も必要です。

このような観点から、次の3つの柱を基本方針とします。

  • 民間の企業・団体、国の原子力研究所、大学の研究所(“産官学”)の有識者による「原子力フォーラム茨城」を開催する
  • 「サイエンスカフェ茨城」による理解活動を促進する
  • 地域に根づいた活動のための基盤を整備する

(2)産官学の有識者による「原子力フォーラム茨城」の開催

県内に所在する民間の原子力関連企業・団体、国立研究開発法人の日本原子力研究開発機構、国立大学法人の東京大学等の有識者が一堂に会し、日本の原子力研究を先導する役割を担う構想を討論する「原子力フォーラム茨城」を開催します。

原子力国民会議茨城支部は、フォーラムの結果に基づき、県議会、関係する市町村議会、原子力国民会議本部と連携し、それらが国の政策に反映されるための支援活動を行います。

(3)「サイエンスカフェ茨城」による理解促進活動

日常生活に影響を及ぼす異常気象やエネルギー問題、等をとりあげ、一般市民の誰もが気楽に学べ、交流できる「サイエンスカフェ茨城」を結成します。

具体的には、異常気象の原因、家庭電気料金、放射線の人体への影響、放射性廃棄物の処分問題、等の身近なテーマをとりあげ、地域住民が、何を不安に感じ、何をもっと知りたいかを把握し、丁寧に応えるように活動します。また、関心ある施設の見学会を実施します。

これらの活動を通して、地域住民の知識を豊かにし、地域住民の生活にかかわりが深い、原子力の研究施設や発電所の再開の支援活動を進めます。

(4)地域に根づいた活動のための基盤整備

原子力国民会議の活動と理念に賛同する、地域の組織・団体・個人と手を携え、“原子の火を大きくする”活動の基盤整備に取り組みます。即ち、会員の拡大、活動拠点づくり、等に取り組みます。

3.実施計画

(1)産官学の有識者による「原子力フォーラム茨城」の開催

目的

原子力研究者・技術者や原子力研究施設の実績を分析評価し、茨城県の原子力の将来のあるべき姿に関する討論会(パネルディスカッション)を行います。

 メンバー

県内の民間(企業・団体)、国(日本原子力研究開発機構)、大学(東京大学原子力専攻、等)の“産官学”の有識者にパネラーを依頼します。

 開催

令和元年秋から準備し、年度内に開催します。

(2)「サイエンスカフェ茨城」による理解促進活動

活動拠点づくり

水戸市、大洗町・鉾田市・茨城町、及び、ひたちなか市・那珂市・東海村から各1か所を活動の拠点とします。

テーマ

異常気象の原因、家庭の電気料金、放射線の観察と人体への影響、放射性廃棄物の処分問題、ほか

方法

上記の3拠点において月1回開催。毎回前半は学習会、後半はコーヒーを飲みながらの自由な対話集会。対象者は、一般市民、学生・生徒。

この参加者等から希望者を募り、関心ある施設の見学会を実施します。

(3)地域に根づいた活動のための基盤整備

 活動拠点における活動

初年度は、2つの拠点を中心にサイエンスカフェを開催します。また、原子力国民会議本部が実施する署名活動に対応します。

 会員の拡大

活動拠点づくり、草の根対話活動、ホームページによる広報活動を通して、会員、賛同者・協力者の拡大に努めます。

 予算措置

初年度の予算措置については、本部からの支援、及び、財団法人日本原子力文化財団からの受託事業による資金を充当します。

以上